2014年11月6日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
環境大臣 望月義夫 殿
子ども・被災者支援議員連盟 会長 荒井聰
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会合」
についての申し入れ
当議連は、「子ども・被災者支援法」を立案した超党派の国会議員の集まりです。同法発議者として、これまでにもたびたび政府に対して申し入れを行ってきましたが、2月には環境省が主催する「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下専門家会議)に有識者6名を推薦し、そのうち5名が専門家会議に出席し、有益なご意見をいただいたところです。
これを踏まえ、当議連では当年8月に別紙の申し入れを行ったところですが、10月20日に開催された第12回専門家会議において、この申し入れ内容が全く反映されない中間報告の叩き台が事務局から示されたことは大変遺憾です。 放射線による健康被害そのものを否定しているとも受け取られかねない同案の内容は、私たちには受け入れ難いものです。
被災者の不安に寄り添い、国が主体となって長期的な健康調査・適切な医療等支援体制を構築していくことを本旨とし、総理と新大臣に対して改めて以下の通り申し入れます。
記
1.
福島県内外の被災者の不安を受け止めることのできるよう、当議連が8月に申し入れた内容を、中間報告に反映させること。
2.
住民の初期被ばく量は、十分に評価されているとは言い難いので、食品の流通状況や、外部専門家からも指摘されている吸い込みによる被ばく影響、大気汚染物質に付着している放射性物質の拡散状況などについて、検討・評価を行うこと。
3.
福島県健康調査で見出された甲状腺がんの状況は、悪性度が高く手術は不可避であったとされている(注)。一方、専門家会議では、「過剰診断」のみの議論が行われており、甲状腺癌の悪性度に関しての議論が行われていない。これについて鈴木眞一医師ら、広く関係者からも聴き取りを行い検討すること。
注)福島県立医大では手術54例中に肺転移2例およびリンパ節浸潤ないしがんの大きさ1cm以上のものが7割を占めるという悪性度の高いものであったことが明らかになっている。日本癌治療学会(2014年8月29日)における鈴木眞一医師の発表や「専門家会議」第9回の外部有識者である宮内氏の発言を参照。
4.
県外の甲状腺がん検診については、当事者の意見をきくことが大切であるという意見が委員からもでている。検診の必要性を強く求めて政策提言を行い、先行して自主的な検診を開始している住民団体等の意見も聴取して参考として取り入れること。
5.
この中間報告を以って議論を収束させることなく、子ども被災者支援法の理念に則り、現実に即応しながら、被災者の長期的な健康支援のための継続的な検討を行うこと。
水俣病、アスベスト、薬害などの歴史的教訓を踏まえ、被爆者援護法のような総合的な保健・医療・福祉制度を確立する必要性を強く提起する。
以上
(別紙)
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