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ブログ運営:「子ども・被災者支援法」発議者の1人、川田龍平参議院議員事務所

2013年3月8日金曜日

国会審議での子ども・被災者支援法関連質疑議事録

国会審議が続いておりますが、谷岡郁子参議院議員、森ゆうこ参議院議員、川田龍平参議院議員が予算委員会や本会議にて、子ども・被災者支援法について質疑をしておりますので、該当箇所の議事録を以下に掲載致します。

2月21日参議院予算委員会

○谷岡郁子君 次に、子ども・被災者支援法にかかわって、少し具体的なところに今日は入りたいので。
 子ども・被災者支援法第五条三項には、被災者の意見を反映させるために聞かなければならないと書いてありますが、パブコメですとか会合ですとか、今まで復興庁は何回主催なさいましたか。

○国務大臣(根本匠君) お答えいたします。
 現時点でパブリックコメントを実施したり被災者の方からのヒアリング等の会合を主催した実績はありませんが、各種の会合等で様々な御意見をお伺いしております。

○谷岡郁子君 国がそれをやらなければならないと法律に明快に書いてございます。去年の六月に通った法律でございます。それで、民主党政権はそれをやってこなかったということだろうと思いますが、大臣、新たな政権になっておやりになりますか。国が主催したことは一度もないんです。

○国務大臣(根本匠君) 確かに、国が主催したことは今までありませんが、今までも様々、これからも御意見をお伺いした上で、意見交換をさせていただいた上で、その意見も踏まえて政府としての考え方を整理した上で、パブリックコメントの実施など改めて広く御意見を伺う機会を設けたいと思います。

○谷岡郁子君 国が責任を持って、真っ当な方法として主催してそういうことをおやりになることは絶対に必要だと思います。やっていただけますね。

○国務大臣(根本匠君) 当然、いろいろこれから検討していくわけですが、御意見を、今までの、それまでの意見を整理した上で、パブリックコメントの実施など幅広く意見を伺う機会を設けたいと思います。

○谷岡郁子君 発議者として申し上げますと、この法律はたった一つのその前の前例でありましたチェルノブイリのチェルノブイリ法を参考にしております。
 そこで、チェルノブイリ法に関しての基本的な事実としてお伺いいたします。チェルノブイリ法の規定で強制移住は何ミリシーベルト以上になっておりますか。事務方で結構です。

○国務大臣(根本匠君) チェルノブイリ法においては、移住が義務付けられる地域はチェルノブイリ法においては五以上となっております。

○谷岡郁子君 五ミリシーベルトですか。

○国務大臣(根本匠君) 五ミリシーベルトです。

○谷岡郁子君 では、住民に選択権のある移住権というものが付いている、それはどのくらいの量になっていますでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 先ほどの強制避難の基準は、一年目に年間百ミリシーベルトで六年目以降に五ミリシーベルトと順次引下げが行われたと聞いておりますが……

○谷岡郁子君 そんなことは聞いていません。

○国務大臣(根本匠君) はい。移住の権利を認める地域はチェルノブイリ法における地域設定としては一ミリシーベルト以上となっていると思います。

○谷岡郁子君 その場合、住居ですとかあるいは仕事を見付けるとかという、どのようなサービスがありましたでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) チェルノブイリ法においては、その支援施策としては、移住費用、住宅・雇用支援、喪失した資産の補償と承知しております。

○谷岡郁子君 では、反対に、それを選択しなかった人たちがきれいな食べ物を食べたり、そして健康を確保するためのどういう支援がありましたでしょうか、例えば保養など含めまして。

○国務大臣(根本匠君) チェルノブイリ法によりますと、居住を継続した場合、医療サポート、精神ケアサポートを支援施策として用意されているものと承知しております。

○谷岡郁子君 子供の保養に関してはいかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) ただいまの質問については、事前に通告がありませんでしたので、手元に私も用意しておりません。

○谷岡郁子君 昨日、チェルノブイリ法の基本的なことについてはお聞きしますということを通告いたしました。
 そして、こういう問題について先例に学ぼうとするのは、この事故が起きた後での国としての当然の態度であろうと思っておりますし、子ども・被災者支援法には国の責任ということが明確に書かれております。
 そして、自主避難の問題に対する支援、それから、その父親が会いに行くための高速料金、そして新たな二重生活になったための負担の軽減、そのための支援、こういうことを我々は再々申し上げてきた。また、中にいる人々の医療の検査であるとか、そして子供たちが免疫を下げて、がん等に対抗できるための一か月以上の年間の保養、そのために家族が連れ出すことのできるような高速道路の無料化、こういうことを私たちは、大きな額ではありません、これを期待してまいりました。このことを私たちはお願いをしてきたわけです。
 そして、私たちはもう、ですから、総理がいただいたこと、お返事はよく分かっておりますが、その中身を今日は申し上げているわけです。そして、ソ連よりもやはり私たちは二十年後のこの日本においては、より基本的な人権というものを考慮したということをやる必要性があるだろうということを申し上げておるわけです。
 これに対しまして、麻生副総理、どういうふうにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 質問の全部、伺ったというか、私の場合、それこそ質問通告がありませんでしたので、一般的なことでしかお答えできないと存じますけれども、今おっしゃられていることの内容をちょっと詳細に、一つ一つを詳しく述べられる立場にはありませんし、知識もありませんけれども、今おっしゃられていることに関しては理解のできるところであります。

○谷岡郁子君 ありがとうございます。
 そして、この自己決定権という基本的な人権において、もう既に帰還を諦めている人たちがいつまでたっても新たな生活を新天地で再建できないということがあります。これに対しても国はそろそろ支援が必要なのではないでしょうか。その基本的な理念の問題だけを副総理にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) かれこれ二年の年月が経過をいたしておりますので、それまでの間、初期対応が悪かったとはいえ、間違いなく、被災を受けている国民ということの立場を考えれば、今おっしゃられていることの理解はできるつもりであります。


2月26日参議院予算委員会(平成24年度補正予算案討論)

○谷岡郁子君 みどりの風を代表し、原案賛成の立場から討論いたします。今回の予算に多くの問題、懸念があります。財政法に規定された補正予算の在り方から大きく逸脱していること、本来当初予算にすべきものが慣行化して入り込んでいること、盛り込まれている事業の内容がマンネリ化し、新規のアイデアに乏しいことなどです。
 また、その一方で、子ども・被災者支援法等、今年度成立し、本来対応すべきであった予算が付けられていないこと、こういう点につきまして、我が党として質疑中に提起をいたしました。これらの問題を、総理は政府として問題の所在を認めていただきました。また、今後是正していくことを約束していただきました。予備費等、可能な財源を使って対応することもおっしゃっていただきました。
 みどりの風は、総理就任から時間がなかったこと、そして今の問題のありようを素直に認められた総理に敬意を表して、時間の余裕を差し上げるため、また、長引く不況に対して切に突破口を開くための予算成立を一刻も早く願う国民のために、原案に賛成するものであります。


○森ゆうこ君 生活の党の森ゆうこでございます。私は、平成二十四年度補正予算案の修正案に賛成し、政府案に反対する立場で討論をいたします。その主な理由は、共同提案をいたしました修正案提案理由説明のとおりでございます。財源には新たな巨額な借金が含まれております。無駄遣いを徹底的に排除し、効果的に財源を活用し、地域の自主性を高めて経済、雇用を再生し、真に国民の生活を向上させるという視点が完全に欠落をしております。シロアリの巣窟である独立行政法人の整理統合計画を凍結したことがそれを物語っております。
 十三兆円を超える補正予算を組みながら、全党全会派が賛成して成立した議員立法である原発事故子ども・被災者支援法に基づく自主避難者を支援する予算が盛り込まれなかったことは誠に遺憾であります。安倍政権が国民生活の現実に目を向けていないことを象徴していると言わざるを得ません。
 まだまだ反対の理由、そして修正案に賛成の理由、述べることはできますけれども、一分しか時間がありませんので、ここにとどめさせていただきます。国民の生活を第一に考えた修正案に何とぞ御賛同いただきますようお願いを申し上げて、討論を終わります。


2月26日参議院本会議(平成24年度補正予算案委員長報告)

○石井一君 ただいま議題となりました平成二十四年度補正予算三案の審査の経過と結果を御報告申し上げます。補正予算三案は、去る一月三十一日、国会に提出され、二月六日に財務大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院から送付の後、二月十八日から本日まで、安倍内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、質疑を行ってまいりました。
 質疑は、政府・日銀の金融政策の妥当性、財政法に照らした補正予算の在り方、TPP交渉参加問題、JAL再生支援の問題点、計画的な社会資本整備の推進、社会保障制度改革の方向性、生活保護基準の見直し、自殺対策の強化、金融円滑化法期限切れへの対応、国会事故調査委員会への虚偽説明問題、子ども・被災者支援法に関するその実現性、日銀法改正と総裁人事の考え方など、多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。


2月27日参議院予算委員会

○川田龍平君 安倍総理が訪米の際に強調されたという強い日本について質問させていただきます。三・一一の原発事故以降、我が国は、国内だけでなく諸外国からも政府による情報隠蔽について厳しい指摘を受けてきました。そして、御存じのとおり、それは、震災以降、諸外国の日本に対する信頼を傷つけ、貿易にも大きな損害をもたらしています。しかしながら、総理は強い日本にしていくために経済成長戦略の一環として輸出の拡大と農業の強化を掲げていらっしゃる。
 そこで、まず、林農水大臣にお聞きします。
 政府は、日本の経済再生のために、今後、農林水産品や食品輸出額の目標を現状の二倍以上にする輸出拡大政策を打ち出しています。しかし、実際は倍どころかマイナスである現実を認識されているでしょうか。
 原発事故から間もなく二年がたとうとしていますが、いまだに日本の農産物の輸入停止措置をとっている国が非常に多いです。その後、解除した国でも検査数値の添付義務付けや現地での検査が必要になっています。EUを除いても四十三か国で輸出のためのハードルが非常に高くなったままです。いまだに日本の農産物の輸入を拒否している国や地域がこんなに多い理由は、大臣、なぜだと思われますか。

○国務大臣(林芳正君) 今先生が御指摘がありましたように、まずは農業が成長産業になっていく上では、アジアを始めとして、ここは四十億人になると言われておりますが、輸出の拡大に取り組むということが大事だと思います。
 御指摘のように、原発事故に伴って四十四の国と地域で我が国の農林水産物、食品に対する輸入規制を行っている状況にありましたが、モニタリング結果等の科学データの提供を、きちっと提供していくということで、政府一体となって輸入規制の緩和、撤廃に努めているところでございます。
 今お触れいただきましたけれども、十か国が輸入規制はもう撤廃と、それからEU等が放射性物質検査証明書の要求地域を縮小ということで徐々に少なくなってきているところですが、主な輸出先、農林水産物でいいますと、香港、台湾、中国といったところがまだ一部輸入停止という状況にございますので、やはりこれはもう粘り強く科学的データに基づき働きかけを行っていくと、これに尽きるのではないかというふうに思っております。

○川田龍平君 それだけではありません。理由は三つあります。一つには、今も収束していない原発事故の影響による食品の安全性への懸念、二つ目に、我が国の基準値が今も国際標準よりも高いこと、そして最後に、震災直後からの日本政府の情報隠蔽体質のせいです。日本国内でも、全く同じ理由から国民が食に関して不安を抱えています。検査体制が徹底しておらず、産地偽装のニュースはしょっちゅう出てきます。幾ら農業を強くしても、信頼されない今のやり方で日本の農産物の輸出先をどうやって拡大するのでしょうか。輸出拡大政策の明らかな障害であるこの現状に対してどういう対策を立てていくのでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) これは、我が省独自でやるということよりも政府全体としてやっていくべきこともあると思いますけれども、やはりいろんな問題が生じたときに、きちっとそれを解明し、そしてそのことに対する説明をきちっとしていくということに尽きるというふうに思っております、先ほど科学的データと申し上げましたが。
 したがって、どういう国でも、これは我々の国もそうですが、国の規制でこういうふうになった、それが緩くなったからといって、最終的に物を買われて食べられるのは国民の皆様、消費者ということですから、やはりそういう方がきちっとそういうことを信頼して購買して消費していただけるということにしていくということが非常に肝要だというふうに考えております。

○川田龍平君 この食品の検査手段について次に田村厚労大臣に伺いますが、貿易の障害になっている日本製品の輸入停止措置ですが、そもそも日本が掲げているこの数値自体が問題です。例えば、日本の乳幼児食品の放射性セシウム基準は五十ベクレル・パー・キログラムですが、レバノンでは十五ベクレル・パー・キログラムです。また、多くの諸外国では全食品基準値百ベクレル以下に定めている放射性沃素、これを日本が暫定基準値で五百から二千ベクレルと非常に高くしていたことも信頼を失った原因となりました。
 日本政府は適正基準値だと主張していますが、肝心の輸出先である海外はそれが信用できないから、いまだに輸入停止措置になっているんではないでしょうか。特に食品は、売ってしまえば後は知らないと言えない、人の健康と命にかかわるものです。日本政府にとっての適正ではなく、相手国が安心して輸入できる国際的な安全基準値にすることは、今後の貿易における拡大戦略にとっても、自国民の命と安全にとってもとても重要だと思いますが、食の安全と命を守る厚労大臣として、大臣はどう思われますか。

○国務大臣(田村憲久君) 今委員から暫定基準のお話が出ましたけれども、昨年の四月一日から施行しております食品中の放射性物質の基準、これは食品の国際規格を作成している国際機関のコーデックスですね、この一応指標、これに基づいて年間一ミリシーベルトを超えないというような一つの基準で作成をしておるわけでございます。
 そういう意味からいたしますと、EUでありますとか、あとベラルーシ、ウクライナ、こういうところと比べても同じような基準でありますし、アメリカは五ミリシーベルト以内ということでありますから、そういう意味から比べると、アメリカから比べれば厳しい基準であるということであります。
 今お話がございましたレバノンでありますが、乳幼児用の食品一キログラム当たり十五ベクレルということで、確かに日本の五十ベクレルよりもこれは基準は厳しいわけでありますが、ところが一方で、その他の食品は百五十ベクレル、一キログラム当たりでありまして、日本はこれは百ベクレルでございますから、そういう意味では、この部分では日本の方が厳しいということでございますので、国際標準に今合致しておるという点から考えれば、日本の食品に関して安全は御認識いただけるのではないかと、このように思っております。

○川田龍平君 これは、やはり消費者庁の問題にもかかわるんですけれども、消費者庁では食品と放射能に関する消費者理解増進チームを立ち上げ、四月をめどに風評被害対策をまとめるそうですが、この風評被害対策については業者の意見を聞いて数値は公開しないと言っていますが、何のためにあんなに苦労して、森大臣、一緒に子ども・被災者支援法を作ったのでしょうか。何のためにやったのか。
 この子ども・被災者支援法は、一昨年、みんなの党が提出し、食品の徹底検査と表示を義務付ける子どもと妊婦を守る法案と、森大臣御自身が子ども保護法案と、民主党の法案と、三つを合体させて、ようやく超党派で去年の六月に成立させたものです。それを政府の基準値以下なら安全ですからと言うのでは、法律ができる前の政府の対応と変わりません。わざわざ子ども・被災者支援法を作った意味がないではないですか。森大臣、いかがですか。

○国務大臣(森まさこ君) 就任直後に消費者の理解増進チームを立ち上げました。風評被害の払拭のためには、徹底した検査と検査結果の表示、それとともに検査をしたことに対する消費者の信頼というものが大事です。両方とも必要だと思います。
 検査について言えば、例えば毎日食べるお米、福島県では全袋検査をしております。実は全袋検査ではなくて、三段階、更に三段階の検査をしているんです。つまり、生産の段階、出荷の段階、それから流通、消費の段階です。
 生産の段階では、農地の除染とその検査、さらに、出荷の段階で全袋検査をして、そして流通するときには加工食品のゲルマニウム検査機にも掛け、それから消費をする段階、各御家庭で消費をする段階には、私の消費者庁の下の国民生活センターで検査機器を全国に三百九十台、福島県内だけで百五十台以上を貸与しております。ですので、消費者が安心して、その検査結果を知ることができる体制を整えております。
 さらに、川田委員の御意見を踏まえて、検査、表示、そしてそれに対する消費者の理解を得るべく取り組んでまいります。

○川田龍平君 是非、これは業者を守るためだけではなく、子供を守るために是非やっていただきたいと思います。
 子ども・被災者支援法は子供の命と健康を国が守るための法律です。風評被害の話ばかりではなくて、やはりこの子供の健康をどうか守るためにやっていただきたいと思います。数値も公開をしていただきたいと思います。
 そして、安倍総理に伺います。
 食品だけでなく、自動車を始め日本からの輸出品に対し、EUのほか二十四の国と地域で放射線量の検査や証明書添付など厳しい状況です。昨年、ロシアでは日本の複数の港から輸出された車の部品から放射性物質が検出されたとして輸入停止措置がとられています。食品についても工業製品についても、日本製品に対する国際的信頼をどう取り戻そうとされているのでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平成二十四年四月から施行している食品中の放射性物質の基準については、国際機関の考え方に基づいて十分に安全な水準で設定をしております。この基準に基づき、各地方自治体で食品の品目や地域も考慮してモニタリング検査を実施し、基準値を超過した食品が市場に流通しないように努めております。また、安全な食品を安定的に供給するため、生産現場における農林畜産物の放射性物質の吸収抑制対策等を徹底しつつ、農地の除染等を実施をしているところでございます。
 今後とも、食品の安全性と信頼性を確保するため、政府と地方自治体がしっかりと連携して、国民への周知も含め適切に取り組んでいきたいと思います。
 また、今御指摘のございました工業製品については、国内外での説明会の実施等により我が国製品の安全性等に関する情報発信を行って、そして国際的な信頼を構築してきたところでありますが、今後とも、相手国政府に対して我が国としての取組をしっかりと説明してまいりたいと思います。

○川田龍平君 昨年末、アメリカ軍の兵士が東京電力に対して起こした訴訟では、損害賠償以外にも、原告だけでなく、日本の被災者などの医療費として一億ドルのファンド立ち上げの要求もありました。事実でしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の事案については、私も報道を拝見しています。承知しております。ただ、これは私人間の民事訴訟にかかわる事案ですので、政府としてコメントすることは控えるべきだと思っています。

○川田龍平君 これは、日本がきちんと被曝による健康被害対策ができていないことのあかしじゃないでしょうか。
 現在、国は、福島県が県民のみを対象にした健康調査以外には被曝健康対策を何もしていません。秋野環境大臣政務官も発議者でいらっしゃる子ども・被災者支援法では、予防原則として国民の健康調査を国の責任で行うことを義務付けています。例えば、子供たちに心配されている甲状腺がんの対策に早期発見、早期治療が最適措置であることは、御自身が甲状腺に詳しい医師でもある秋野政務官なら十分御承知だと思います。秋野環境大臣政務官は、この法律の発議者であるだけでなく、国による健康調査法案も自民党やみんなの党などとの共同提案で提出をしていました。
 新しい安倍内閣が放射能の健康被害から子供たちを守ってくれるのかどうか、本当に多くの国民が、母親が心配をしています。子ども・被災者支援法の発議者として、与党の政務官として、国が責任を持って子供たちの健康調査を実施するのかどうか、テレビを見ている全ての国民に向かってお答えください。

○大臣政務官(秋野公造君) 川田委員にお答えを申し上げます。
 まず最初に、私、子ども・被災者支援法の発議者となっておりませんので、まずそこの御確認だけをさせていただきたいと思います。
 福島県の近隣県におきましては、事故後、各県が主体となりまして有識者会議が開催をされ、健康影響が観察できるレベルがないことから、科学的には特段の健康管理は必要ないという結論が出ていると承知をしております。
 他方、福島県の近隣県の方の中に大きな健康不安を持つ方がいることを認識しておりまして、国としては、昨年五月、健康不安対策に関するアクションプランを決定しておりまして、放射線による健康影響等に関する知見の統一的な基礎資料の作成などの取組を確実かつ計画的に実行していきたいと思っています。
 なお、子ども・被災者支援法につきましては、法に基づく基本方針の策定を始めとする取組を政府全体として進めていくこととしておりまして、健康調査といった個別の施策についても政府全体の検討作業を踏まえつつ進めていきたいと思います。

○川田龍平君 是非よろしくお願いいたします。済みません、失礼いたしました。
 さて、今度は、この関連で、被曝による健康被害について田村厚労大臣に伺います。
 通常ですと、健康診断は保険が使えません。しかしながら、御承知のように、今我が国は通常の状態ではありません。緊急事態下にあります。収束していない原発事故によって通常とは違う危機対応が必要です。毎時一千万ベクレルが放出している放射性物質の健康への影響は計り知れません。このまま危機対策を何もせずに健康被害が重症化してから対応するのでは、国民を守ることに加えて医療費が膨大になり、財政面でもリスクが大き過ぎます。
 子ども・被災者支援法に記載した健康診断は、今の緊急事態に対応したリスクマネジメントとしても入れたのです。健康診断にも健康保険を使えるようにするというのはいかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 委員も御承知のとおり、医療保険制度というものは疾病に対する療養、治療、こういうものに給付をされるわけでありまして、疾病に対する治療に必要な検査という意味では、これは給付の対象になるわけでありますけれども、予防に対する検査は給付の対象にならないということが前提でございます。
 今、担当の環境省の方からもお話がありましたけれども、環境省と連携しながら、専門医の確保でありますとか、あと、人的また技術的ないろんな支援の方はこれからも行ってまいりたい、このように思っております。

○川田龍平君 是非お願いします。
 例えば、健康保険適用にすればレセプトチェックなどもあり、検査結果も第三者の目を入れられて、今親たちが心配しているデータの改ざんなども防げます。子ども・被災者支援法を機能させるには、国民の命と健康を守る厚労省の力なしではできません。
 是非とも、この予防医療の原則に沿って、被曝影響が疑われる国民の健康調査を国の責任でやるのかどうか、お聞きしたいと思います。厚労省単体ではなく、この学校健診についてもそうですが、厚労省に、是非保険以外で、単体として、事業として、厚労省行えないか。

○国務大臣(田村憲久君) 環境省が担当でございますので、環境省の方と議論をさせていただきたいというふうに思います。

○川田龍平君 実は、厚労省だけではなくて、学校健診を管轄する文科省にもしっかり子ども・被災者支援法に沿って子供の健康被害対策をやっていただきたい。
 例えば、学校検査に甲状腺検査や血液検査など被曝由来の健康チェックも入れて心電図の分析などもするべきだと思いますが、下村大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 福島県民などの健康管理については大変重要な課題であるというふうに思っておりますし、環境省を中心に政府全体として対応を行っているところでございます。
 文部科学省としては、環境省等における対応を注視しつつ、子供の健康の保持増進を図るという観点から、福島県や県外の自治体において学校健診の中で放射線検査を実施したいという意向があれば、必要な協力を行ってまいります。

○川田龍平君 ありがとうございます。
 環境省がやっている子供たちへの有害化学物質の影響を調べるいわゆるエコチル調査も子ども・被災者支援法に沿って被曝由来の健康調査の一部が担えますと思いますが、秋野政務官、いかがでしょうか。

○大臣政務官(秋野公造君) 子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査は、現在、全国十五地域において十万組の親子に協力をいただきまして、環境中の化学物質と子供の健康の関連について長期間追跡をするものでありますが、エコチル調査では、福島県におきまして、平成二十四年十月より対象地域をこれまでの十四市町村から全県の五十九市町村に拡大をさせていただいたところでありまして、県民健康管理調査の被曝線量推計データを活用させていただきまして、放射線を含め環境要因が子供の健康に与える影響について解析を行ってまいりたいと思います。
 放射線を含めた環境要因が子供の健康に与える影響に関する調査を進め、安全、安心な子育ての環境を実現していきたいと思います。

○川田龍平君 最後に、総理にお聞きします。
 昨年末、トモダチ作戦に従事した米兵が東京電力に対し、情報隠蔽により危険レベルの被曝をさせられたと訴訟を起こしました。情報開示の問題は、このように諸外国との摩擦を起こすだけでなく、国が最も守るべき命の切捨てにつながります。
 国と企業による情報隠蔽で薬害の被害に遭った私は、かつて自民党政権下で福田元総理が尽力された公文書管理法と情報公開法の進展に大変期待をしていました。薬害エイズのような被害を繰り返さないためには、徹底した情報公開なしには不可能だからです。残念ながら、原発事故の際、民主党政権下でその教訓は生かされず、命にかかわる情報の隠蔽によって国内外の信頼を大きく失いました。だから、命を守ることと徹底した情報公開が柱である子ども・被災者支援法を作ったのです。
 自国民、特に子供の命と安全を守らない国は、本当の意味で強い国にはなれません。世界は震災後の日本をじっと見ています。原発事故を起こし、今も収束していない現実は、マスコミが報じなくなったとしても、なかったことにはできないのです。子供を持つ母親や被災者にとって、今も日常の不安と苦しみは続いているんです。いつまでも徹底した情報開示をせず、諸外国や自国民から信頼を得られないままで、どうやって強い外交や貿易大国を実現できますか。
 輸出拡大と経済成長を掲げ、日本の復活を目指すなら、まず、地に落ちた政府への信頼を復活させてください。日本の製品を世界に向かって堂々と輸出するためだけではなく、国民の命と安全を守る国へと復活をするために、子ども・被災者支援法に本気で取り組むことを約束していただきたいと思います。
 今、この映像を見ている全国民に向かってお答えください。

○委員長(石井一君) 安倍総理、一言答弁を願います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 子ども・被災者支援法については多くの方々が参加をされて、安倍内閣における森大臣も発議者の一人でございますが、成立をしたものでありますが、その意を体してしっかりと我々も対応していきたいと思います。


3月6日参議院本会議

○森ゆうこ君  子供たちを放射能から守る、この大切なフレーズはどこへ行ったのでしょうか。原発事故子ども・被災者支援法の大きな目的の一つは、低線量汚染地域の子供たちに移住や疎開をする権利を認めることです。総理、チェルノブイリ事故後のソ連政府のように、移住権を認め、支援するつもりはありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 
 子供たちを放射能から守ることについてのお尋ねがありました。
 避難指定区域等以外の区域においては、避難することが義務付けられておらず、被災者の方々が、自主的に避難するか、住み続けるかを自ら選択されています。
 政府としては、子供を始めとする被災者の方々の生活を守り支えるため、自主的に避難される方の生活上の負担の軽減や、被災地に住み続ける方の健康上の不安の解消に向けた施策を共に充実させることで、様々な被災者の方々にきめ細かな支援を行ってまいります。

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