10月11日、「子ども・被災者支援法」を育てる世話人会・勉強会第2回が参議院議員会館内で開催された。出席者は、徳永エリ議員、谷岡郁子議員、森まさ子議員、秋野公造議員、紙智子議員、川田龍平議員、荒井広幸議員、復興庁、環境省、文科省、原子力規制庁、そしてオブザーバーとして発議議員秘書、市民会議の江口弁護士。(配布資料「県民健康管理調査実施状況2012/09/11」、「県民健康管理図説」)
議員:まず一つは、情報へのアクセスについて。モニタリングと医療。検査を受ける権利、そして自らのおかれている状況についての情報のアクセスの保障。それがどこを地域指定するかにも関わる。もう一つは、住民、被災者たちの意見を聞いて施策をつくるということについてが、どうなっているのか。
議員:基本となるデータをどう集めているか、復興庁が整理中と聞く。
復興庁:自主避難者数を、避難先自治体や県に聞いて調べつつあるが、精査が追いついていない。
議員:避難者を支援、サポートしている団体が情報を持っているのではないか。
復興庁:民間団体は自治体と連携をとっているところも多く、その分は分かっているが、全国に散らばっている人については難しい。
議員:被災者のニーズを聞く段取りはどうなるのか。
復興庁:意見を反映させると法律に書いてあるので、やり方はいろいろあるが、被災者の団体が集まる院内集会には、欠かさず出るし、土曜の日弁連の郡山イベントも必ず行く。
議員:来年度は、ここからやっていきたいという考えはあるのか。
復興庁:大きな要望があるのは何か整理中で、発議者の個別議員からの意見一覧(注:当ブログに寄せられた意見一覧含む)も参考にしている。移動支援、リフレッシュ、NPO支援が大きいのかなという感覚はある。
議員:福島地元の問題は、健康調査の情報、除染の仕方、モニタリングの情報の3つ。除染が全然すすんでいない。県民が、除染がどういうふうにすすんでいるか全く分からない。
環境省:健康調査の担当で、除染の担当ではないので分からない。
議員:除染とモニタリング、汚染拡散は3つで1つのパッケージ。モニタリングがあって、拡散防止があって、除染があると思うが、警戒区域内は危ないから国がやるというが、警戒区域は人がいないわけで、人が住んでいるところこそ重要なのに、本当にそれでいいのかどうか。女性や子どもが除染にかりだされている話も現実にある。
議員:人が住んでいる地域の被ばくが継続されている。子どもが住んでいるところから除染するという計画もたっていない。除染が最初手探りだったのはしょうがないが、そろそろ決めないと。水をかけて土をはぐ、ビニールシートで囲ってももれちゃう。それはもう分かっている。怪しいものからちゃんとしたものまで、除染技術ややり方について、情報がくるが、そういうものを環境省はちゃんと精査しているのか。ドラム缶に入れる、コンクリートに入れる、薬品を入れるなどいろいろあるが。
議員:除染は人が住んでいるところは自治体まかせだが、国としてはどうしているのか。
復興庁:年間20ミリシーベルト以上の高いところは国がやるはず。屋外8時間といった計算式に基づいて。
議員:それは世界水準ではない。チェルノブイリのやり方もある。日本独自の311以降に勝手に決めたもので、そのままそれが独り歩きしている状況。基本が全て違う。学校を再開するために文科省が無理やりつくった計算式で、どこにも法制化されていないが、それを今後もずっと使い続けるのか。
文科省:モニタリングの担当で学校の担当でないので、詳しくは……
議員:なぜ担当じゃないと、関連することも分からないのか。皆さん優秀なんだから、仕事をするうえでの関連やつながりがないと仕事にならないからやってください。子ども・被災者支援法の質疑の議事録も読んでないのは困る。2日しかないから読んでください。衆議院の質疑は逸脱したものがないとは言えないが、参議院の議事録はきちんとこの法律で意図したものについて、精査したうえでの説明がしてある。モニタリングも含めて、質疑があるので、それをおさえたうえで、やっていただきたい。
議員:福島県民以外の健康調査はどうするのか。
議員:福島県民で県外に避難している人はどうなるのか。
環境省:福島県民で県外に出ている人は、協力していただける医療機関にお願いすることになっていて、健康診査は県外で827か所、甲状腺は102(福島県のウェブサイト「県民健康管理調査」甲状腺検査(県外検査)の実施について)の医療機関が協力していただけると回答を受けている。宮城県、茨城県栃木県ではそれぞれの県で専門家による検討会をしていて、いずれの県でも特段の健康管理が必要ではないとの回答を得たと聞いている。国としても、現段階では特段必要ではないと思っている。
議員:指定地域は決まっていないが、法律で指定された地域は健康診査をすることになっていて、県外はしないなどと先走っていると法と抵触する。
環境省:誤解を招く言い方になったが、県で独自に子ども被災者支援法ができる前からやっていた検討会での結果だ。
議員:専門家は何をもって専門家なのか。各県の専門委員のリストを出してくれ。
環境省:自治体と相談して出せるところは出したい。自治体によって非公開でやっているところもある。
議員:モニタリングもそうだが、しっかりやらないといけないが、そこにある量なのか、どれだけ被ばくしているのかではかるのか。どさくさまぎれでつくってきたものに準拠している。チェルノブイリと比較することができない。チェルノブイリでは科学的な検証ができるようにしている。日本の年間20ミリは、空間線量から暫定的な計算式で出している。5ミリ以上の放射線管理区域で働いている人は必ず健康管理必要で、一般の住民はいらないと言ってしまうのは、政府として国として大きな矛盾になっていることを理解しているのか。年間20ミリというと、放射能が扱う作業者は通常年間50、5年間で100というマックス、放射線の防御含めて訓練されている専門家でそう。実際事故までの東京電力もそうやっていた。そういう状況になっているのに、一般の人は大丈夫と専門家が言った。今までの法律と全く別体系になっている。国が、制度・システムとしてぐちゃぐちゃでいいのか。それを整理しないと。今、モニタリングで何を調べているのか。
文科省:モニタリングは、空間線量。マイクロシーベルトパーアワー。土壌はベクレルパーキログラムで出している。
議員:拡充する用意はあるか。
文科省:モニタリング計画を年度ごとに決めいる。
議員:概算要求はどうなっているか。
文科省:規制庁準備室で予算要求している。従来のモニタリングを拡充する方針だが、この法律に基づいて拡充するというふうになっていたかは分からない。
議員:ベースはモニタリングなので、この法律にも使われるということを意識してやっていただきたい。子どもと題している法律で、ストロンチウムのベータ線は骨に入る、そうしたことを学習して欲しいが、そのへんの対応はするのか。細かいメッシュでないと、最終的に各個人が決定していくための情報にならない。もう一つ、今のモニタリングポストは実際より1~2割低く出ていると市民団体が言っているし新聞にもそう報道されている。
文科省:モニタリングポストの周辺の装置で遮蔽効果あるのではないか、ということで、撤去している。今年中に工事して回収していく。
議員:福島県は基金を活用して健康調査をするが、県に自主性を認めているというのは、きれいごと。これは法定受託事務という概念がなければいけない。国の責任による事故なので、国の責任でやる。単年度に限らないので基金にしている。このことを国はマスコミにも説明していない。おかげで、福島民報、福島民友も正確に説明できていない。根拠を県民に言っていないからだ。県民健康調査の根拠法はどこですか。福島特措法ではなく、子ども・被災者支援法ですよ。それをマスコミに説明していない。
議員:法律は国が責任もつこと、国が指定地域を決めることを求めている。福島県は第一があるから基金をつくっているけれども、他県について国はまだやっていない。各県が言っているというのは関係なく、国がやらないといけないという法律のたてつけになっている。自治体がどうというのは全く関係ない話。
議員:現実との乖離をなくす法律をつくったのだから、まず県がやることと説明するマスコミ報道は間違っていることになる。
議員:厚労省の食品の基準値以外、311のどさくさで決めたことを何も変えていない。ボタンの掛け違いを、掛け直すためにこの法律をつくった。だから自治体は関係ない。
環境省:誤解を招いた。子ども・被災者支援法ができる前の話で、今後どうするかは、基本方針が決まってそれに対してどうするか、ということ。
議員:そうするとまた1年遅れるでしょう。復興予算が別に使われているでしょう。財務省が動いて再査定するなら、予算要求してないととれないでしょう。
環境省:甲状腺の調査について、他の箇所との比較調査を3か所やるが、場所はまだ決まっていない。
議員:福島県では35万人にガラスバッチが行きとどいた。各自治体に手をあげさせた。こんなことやったらモルモットにされるだけとのPTAもあって、やっていない学校がある。そうなると県も金を流さない。根拠は大丈夫だとか大丈夫じゃないとかいう発想だけ。早期発見早期予防のためにやっている。「線量が低いから大丈夫だ」と言う時、その基準自体も問題だが、そういう問題ではなく、10年20年と続けていく話。それなのに、半年や1年やってやめるということになっている。安心のためにやっているという簡単な話ではない。医学的な継続性のために、福島医大も含めて、町村ごと学校ごとのガラスバッジについて、国から指針を出さないといけない。それから、ホールボディ―カウンターを早く買って配れ。優先順位が違っている。買ってもランニングコストを削っている。平田村にあるひらた中央病院は、ホールボディ―カウンターが有料だ。南相馬市立総合病院は無料。これは医療行為で点数化しているけど、ちゃんと出さないとだめ。ホールボディカウンターなんて無料にしなきゃ。
議員:ゲノム検査やるというが、これは何のためにやるのか。200人くらいにお金をかけて。
環境省:遺伝子に影響があるかどうかが関心高い。エコチル調査で、遺伝子を調べてもらえないかとも言われている。
議員:たった200人のゲノム調査をやってたくさんの被害者には何になるのか。やるなら2万人にしなきゃ意味がない。免疫異常や遺伝子異常は1人千円で、血を一滴とればできる。チェルノブイリでやっている。それをやればいいのに、その予算で子ども全員についてできるのに。
議員:科学調査としてはおもしろいかもしれないが、うちの子が遺伝子調査あるかどうかがまず重要で、全員できるのだ。なぜそれをしないのか。とんちんかん。政府は何も分かってないと表明しているようなもの。
議員:法律に基づく健康調査はこれから検討がはじまるのか。
議員:6月20日に通った法律だから、概算要求出しても、そこから組み替えなかったのはあなたがたのサボタージュ。5ミリより高いところで設定するわけはない。空間線量の5ミリで加工したものではない5ミリだ。遺伝子検査キットがあるからそれをやればいい。ゲノム調査をやるというのは関係ない。細野さんはだまされている。モニタリングもこの法律との関係で、この法律にふさわしいようなものにしないと。
環境省:全く検討していないのではなく、何分どのくらいの額という積算が正直分からないので、財務省には事項要求。
議員:790億円は福島だけには積んだけど特措法で、県外には使えない。柔軟な動きができないなら、この法律用に別途基金が必要ではないか。
復興庁:そういうことも含めて事項要求。
議員:甲状腺の健康調査は、以前は県外避難している人が好意で検査した結果を、山下さんの仕様・指示に基づいたものでも福島県立医大は受け取らなかった。協力病院はデータとして受け取ってもらえるのか。
環境省:そういうことも含めて……
議員:予算が足りないから保護者にデータ渡さないとも聞いたが、どうなっている。セカンドオピニオンとれないような加工されたデータしか情報公開しても出てこない。ぼやかした。情報公開しないと本人にデータ出ないころ自体おかしい。自己決定するのがこの法律なのに、その情報がきていない。
環境省:セカンドオピニオン、サードオピニオンを必ずしも否定しているわけではない。
谷岡:A2とかいう判定だけ持って行ってセカンドオピニオンとかありえない。5ミリ以上がA2だというが、3ミリが10個あったらどうする。
環境省:必ずA、Bでやるのではなく、C判定になるかもしれない。
谷岡:福島県立医大の鈴木検査部長が、3ミリ10個でもA2と言っている。画像がないし、何個あるか分からないから、セカンドオピニオンを聞きにいけないじゃないですか。
議員:セカンドオピニオンと言っても、医学的に正確に議論しないといけない。A、Bは複数の医師で決めている。県が全部握っている特措法が問題。
議員:基金はつかみ金。県が問題なら国がやらないと。
環境省:現時点では法定受託事務ではなく、健康調査の法的根拠はない。
議員:だから健康調査法案を出している。そうした実施法をつくらないといけない。高いハードルをつくることになる。誠実にやってくれということを言っていく。
環境省:もう一度福島県に話す。いずれにしてももう一度県と話す。
議員:ゲノムは研究、遺伝子は検査の問題。甲状腺以外も検査すべきことがあるのではないか。簡単な検査が出てきている。ゲノムをやっちゃいけないと言っているわけではない。きちんと整理して欲しい。
議員:尿検査や血液検査は基本。それがないのは信じられない。
環境省:子どもの血液検査やるかは……
議員:子どもの健康検査は通常はやらない。放射線の影響があるからやるのだ。血液検査ならいくらでも何カ月以内に全部できるのに、甲状腺検査に2年待ってなどとやっている。
環境省:血液検査で何を調べるのか。遺伝子検査は何の検査か。不勉強で分からない。
議員:チェルノブイリのデータを勉強すべき。この法律で対象にしている疾病、放射性物質によるもの、すでにあるのもが悪化した、生活の変化でなったもの。それも含めて検査でしょう。
議員:一般の健康診査に対して、今、何を上乗せしているのか。
環境省:大人は白血球を追加。通常は学校の検査で血液検査はやっていない。
谷岡:なぜ子どもが感受性高いのにやらないのか。大人と子どもの検査項目を次回までに出してください。子どもを重視するということで考えていただけないか。その方向で私たちも予算をとれるようがんばる。議事録読んでください。
環境省:子どもさんからそこまで血液とることは、大きな議論になるかと思うので、専門家をまじえて。
議員:チェルノブイリは事故2ヶ月後の血液を冷凍保存していて、何があってどういう影響あるかで、サプリメントや予防薬を開発してきた。私たちもそれをやらないと子どもたちを救えない。放射性物質による体の変化のメカニズムを解明しないといけない。
環境省:県民調査には委員に環境省からも加わっていて、技術的な協力もしている。
議員:海のモニタリングは来年度どうなっている。河川とか。
環境省:高い放射性物質が出たという話があれば、やるようにしている。1キロくらいのメッシュでやっている。海だと船出さないといけないので大変だ。
議員:民間の船使ってやっていいというところもあるのに、予算がつかないからできないと言われている。
議員:どれくらい自分たちが危険だと感じるのか感じないのか。影響が確認できないものは、自己決定していただく。残った方はリスク軽減、出て行った人は生活を成り立たせる。
身体の中は健康検査で。外と中が分かってはじめて決定できる。今はゆさぶられている状態。判断基準をはっきりしましょうよ。来年度の予算できちんと要求するために、データをきちんとこの法律が使えるような形で出す。総合的に見直して、ボタンの掛け違いをかけなおす。自己決定のベースをつくること。ものさしがないと、主観で怖いの怖くないのではなくデータに基づいてやる。概算要求でもボタンの掛け違いのままのもあると思う。私たちも協力するから。
議員:空間線量だけでなく下水の汚泥など自治体が出している情報を吸い上げて、降下物もあるからきちんと。
議員:繰り返しになるが、モニタリングがあって、拡散防止、人々が住む環境の除染。これをパッケージで。
議員:正式にホットスポットとして認められている地域について一覧を出すように。
議員:次回は、除染についてやりたい。
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