もう先送りは許されない。
原発事故の被災者の健康不安や生活再建への支援のことだ。
象徴的なのが、子ども・被災者支援法への政府の対応だ。
この法律が超党派の議員立法でできて、1年1カ月になる。被災地に住む人。政府の指示や自らの判断で避難した人。避難先から地元へ帰る人。それぞれに必要な支援策を作る。対立しがちな三者を、被曝(ひばく)を避ける権利を共有する人々ととらえて包み込む。そんな発想の法律だ。
法じたいは理念法で、具体的な支援策は「基本方針」で定めることになっている。
ところが、基本方針はいまだにできていない。……
線引きがいったん決められたとしても、それが不適切かを不断に見直し続けることを想定せねばなるまい。日本学術会議は、幅広い意見をもつ科学者たちを集め、被ばくの影響を公の場で検討するよう提案している。そうした場を活用してもいい。
与野党が力を合わせて作った法律である。参院選も終わってノーサイドとなった今、国会議員たちはもういちど超党派で政府に実行を迫ってほしい。
2013/7/28 朝日新聞社説 「原発被災者-支援の棚上げ許されぬ」 より抜粋いたしました。
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